エモい心理学

こころってやつは。エモい、つまりエモーショナルな心理学論文を書き溜めています。

モチベーション向上のためにテディベアに触れよう

f:id:rikiyan0513:20170404194620j:plain

 

彼の瞳。世界中の愛を煮詰めて凝縮した黒。そこから広がる茶色いふかふかの大地。雄大さと可愛さのハイブリッド。小さい頃は大きなイメージがあったけれど、大人になってから見てみると意外と小さい。というわけで今日はテディベアに関する論文です。

Tjew-A-Sin, M., Tops, M., Heslenfeld, D. J., & Koole, S. L. (2016). Effects of simulated interpersonal touch and trait intrinsic motivation on the error-related negativity. Neuroscience letters, 617, 134-138.

 

論文の内容

お話は、どんなに習熟したって人間はミスを避けることができないよねってところから始まります。で、そういったミスってつきものですが、作業者が「うまくこなすぞー」というモチベーションを働かせると注意深く対処できるんだよって先行研究*1に沿って述べています。

 

じゃあそのモチベーションってどうやって働かせたら良いの?っていう問いに対して、インターパーソナルタッチが有効なんじゃないかって提案しています。

このあたりで、インターパーソナルタッチって何だ?ただのタッチじゃ駄目なの?などと思ったりしました。なぜ、タッチじゃなくてインターパーソナルタッチという言葉を用いているのでしょう。心理学論文だと、インターパーソナルという名を冠する場合は、情緒的な触れ方を言及するときに用いられている気がします。例えば、人にお礼をいうときに軽く触れる、お釣りをもらうときに店員さんに触れられるといったような研究を言及するときとか。どこか優しさを含んだ触れ方なのでしょうか・・・。

 

(補足:インターパーソナルタッチが有効な研究として、アンドロイドロボットに触れられた高齢者はより多くのアクションを起こすようになったということが挙げられています*2。)

 

そこで、実験者らはテディベアを抱くあるいは箱を抱くという両条件を設け、ある作業課題を行うという実験を行いました。

 

        f:id:rikiyan0513:20170404211939p:plain

                こんな感じかなぁ?

 

 

作業課題は、指定されたアルファベットが画面に現れたらなるべく早くスペースキーを押してね、というとてもシンプルなものでした。課題の後には毎回正解したかどうかフィードバックがあったみたいです。モチベーションが高まっていると反応速度も高まりそうですね。

その課題中、同時にERN (error-related negativity) という脳波成分も測定しています。これ何かというと、作業課題中に「ミスった!」って認識したときに出現する成分です。ERNが大きいと作業課題へのモチベーションも大きいよねって考えることができます。これらの2つが、モチベーションの指標となります。

 

実験の結果、作業課題では統計的な差はみられませんでした。一方で、ERNでは作業課題に間違えた場合のほうが正解した場合のほうが下に大きくふれるという統計的な差がみられました。ERNは「ミスった!」と認識した場合に大きくなることがまずは確認されました。さらに、ERNは間違えた場合においてテディベアを抱えていたほうが箱を抱えていた場合よりも大きく下にふれていました(Fig.1:ERNは課題呈示後80-100ミリ秒後にピークを持つ成分で、テディベアを抱えていてかつ間違えた課題のときに最も下にふれていることがわかります)。

よって、テディベアを抱えていた場合は間接的にではありますが、モチベーションが高くなったといえそうです。

 

          f:id:rikiyan0513:20170404210107p:plain

f:id:rikiyan0513:20170404210139p:plain

 

感想

この研究の限界点として、本文でも述べられていますが、テディベアが何の役割を果たしてくれたのかがよくわからない研究になっています。ERNへ影響を与えたのは、テディベアの可愛さなのか?柔らかさなのか?それとも生物らしさなのか?もうちょっと細分化して、追加の実験をしてみたいですね。

 

ちょっと面白かったのでは、作業課題では統計的な差がないのに、ERNでは差があったというところです。つまり、外的に表れるパフォーマンスは高くならないのだけれど、内的なモチベーションは高くなったということになります。

たとえ実生活への提言をするにしても、モチベーションだけ高くなってもしょうがないんだよ!っていうツッコミが入りそうですね。

 

モチベーションだけは十分って、流行り言葉で表現すると意識高い系といったところでしょうか。テディベアを抱えると意識高い系になる・・・シュールすぎるなぁ・・・。

 

おしまい。

 

*1 Rabbitt, P. M. (1966). Errors and error correction in choice-response tasks. Journal of experimental psychology, 71(2), 264.

*2 Nakagawa, K., Shiomi, M., Shinozawa, K., Matsumura, R., Ishiguro, H., & Hagita, N. (2011, March). Effect of robot's active touch on people's motivation. In Proceedings of the 6th international conference on Human-robot interaction (pp. 465-472). ACM.